研究概要

糖を用いないでジャムを作る-高メトキシルペクチンのゲル化機構解明への第一歩―

研究機関名

県立広島大学 生命環境学部 生命科学科 食品化学

代表者

佐藤之紀

本研究の要旨

【背景】  高メトキシルペクチンのゲル化には、糖が必要とされてきており、糖を添加せずにゲル化を起こす方法は全く知られていない。そこで、糖の添加を嫌う消費者とペクチンのゲル化機構との間に矛盾が生じ、ジャムなどのペクチン製品の低迷化につながっている。これらのことから果実や果皮の自然な風味や味覚をできるかぎり残した食品の製造や、糖を添加せずにゲルを誘起させる高メトキシルペクチンゲルが大きく望まれている。そこで、一連の基礎研究を進めている中で、必須アミノ酸の一種であるバリンを添加すると水溶液中の高メトキシルペクチンの分子間相互作用が強固となることを見出した。

【方法】  リンゴペーストまたはリンゴペクチンを遠沈管中で水に溶かし、バリン等のアミノ酸1種類を添加してかき混ぜた。さらに、95℃で30分間加熱した後、ただちに氷中に移し、1時間保存した。その後、遠沈管を上下逆さまにしてゲル化状態を観察し、ベビーフード試験法およびえん下困難者用食品試験法の変法で示される力学物性パラメータを求める過程で必要な見かけの圧縮応力を測定した。低濃度のアミノ酸を添加した場合には、それらの粘度をコーンプレート型粘度計で追跡した。

【結果】  遠沈管を逆さまにするゲル化状態の追跡を行った結果、バリンを添加した場合にのみ自重の力でゲルを保持していたが、グリシンやアラニンを添加した場合にはゲルを形成しなかった。さらに、ベビーフード試験法などのパラメータを求める過程での見かけの圧縮応力を調べた場合でも、バリンを添加した場合に見かけの圧縮応力が大きかった。バリンを低濃度添加した場合には、ゲルは形成しないものの、粘度が他のアミノ酸を添加した場合よりも高かったため、低濃度のバリンを添加した場合でも、バリンにはペクチン分子間相互作用を強固にする働きがあると考えられた。

バリンの添加効果を調べるためのゲル化判定

Fig.1 バリンの添加効果を調べるためのゲル化判定
リンゴペースト20 gをそれぞれ遠沈管にとり、2 gのグリシンを加えたもの(比較例2)、2gのアラニンを加えたもの(比較例3)、2 gのバリンを加えたもの(実施例1)。 遠沈管を上下逆さまにして流れ出さない場合に、ゲル化していると判定した。



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