研究概要

食品微生物に及ぼす超音波の影響

研究機関名

石川県立大学 食品科学科 食品製造化学第2研究室

http://www.ishikawa-pu.ac.jp/guidance/teacher/food/f_noguchi.html

代表者

野口明徳

本研究の要旨

  発酵過程で菌体とそれを取り囲む媒体との境界層は、菌体内外の物質移送の障壁となる上に、発酵生成物による拮抗的阻害が起こる確率を高めると思われる。一方、超音波が媒質に与える影響には、熱、振動効果、圧力変動などが考えられ、超音波の振動効果により菌体または媒質が振動し、境界層の極小化が期待できる。また、超音波による圧力変動が菌体にストレスを与えて、菌体の増殖・代謝の促進につながる可能性もある。そこで、大きなダメージが生じないごく低レベルの超音波処理を菌体に行い、その影響を検討した。

  1. 清酒酵母の増殖に及ぼす超音波の影響
  2. 2.4MHz の周波数において、超音波素子への印加電圧をそれぞれ6V, 12V, 24Vとした時、清酒酵母K-7の増殖速度が大きくなり、菌数の増加を認められた。また、グルコース消費速度とアルコール生成量の増加も13C-NMRにより観察された。超音波周波数の影響では、印加電圧24Vの時、0.3~2.4MHzでは、周波数が低いほど増殖促進効果が大きくなる傾向であった。さらに、各増殖期における超音波照射の効果を検討したところ、対数期での超音波照射による増殖促進効果が誘導期のそれより大きいことがわかった。しかし、静止期での超音波照射では増殖に効果が見られなかった。

  3. 膜不透過性蛍光色素(カルセイン)の取り込み
  4. 超音波による清酒酵母の細胞膜に与える影響を検討するため、通常は膜不透過性のカルセイン(Calcein)と死滅した細胞において膜透過性を示すPropidium iodide (PI)の二つの蛍光色素を用いて、細胞膜の透過性変化を調べた。超音波照射により細胞内へのカルセイン取り込み量が増加することを蛍光顕微鏡で観察した。また、PIによる赤い蛍光が同時に検出されなかったことから、細胞は死んではいないと考えられる。これらの結果から、低レベルの超音波照射により、清酒酵母の膜透過性が増加するものと思われる。

  5. 清酒醪
  6. 超音波照射有無で最も大きな差異は、ピルビン酸の分泌量に現れた。照射の場合はほとんど醪側に分泌されることはなく、他の有機酸が増加傾向にあることから、照射による代謝促進が考えられる。香気成分については、超音波による蒸散のためか、若干の低下傾向が認められた。

  7. 米糖化液を原料とした乳酸発酵に及ぼす超音波の影響
  8. 超音波照射により、菌数がコントロールに比べて増加し、pH値の低下速度も大きい。得られた米糖化液発酵物の風味がコントロールより良いことが認められた。

清酒酵母の増殖に及ぼす超音波照射の影響

Fig.1 清酒酵母の増殖に及ぼす超音波照射の影響 (A)超音波強度の影響(B)超音波周波数の影響

清酒酵母の培養に伴う培養成分の13C-NMRスペクトルの変化

Fig.2 清酒酵母の培養に伴う培養成分の13C-NMRスペクトルの変化 (A)培養前(B)超音波照射無で48時間培養後(C)超音波照射有で48時間培養後

清酒酵母の膜透過性に及ぼす超音波の影響

Fig.3 清酒酵母の膜透過性に及ぼす超音波の影響 (A)超音波照射無(B)超音波照射有

米糖化液を原料とした乳酸発酵に及ぼす超音波の影響

Fig.4 米糖化液を原料とした乳酸発酵に及ぼす超音波の影響



  • オフィシャルガイドブック製品検索はこちら
  • FOOMA JAPAN 2011結果報告書
  • FOOMA JAPAN 2011会場風景
  • 出展に関するお問い合わせ
  • 日本食品機械工業会 FOOMA Net
  • FOOMA JAPANへのリンク設定について