青果物の瞬間湿熱殺菌法の開発
研究機関名
九州大学大学院農学研究院 食品製造工学研究室
代表者
下田満哉
本研究の要旨
青果物表面の加熱殺菌を行うには、可能な限り大きな熱伝達速度と加熱時間の精密制御が求められる。すなわち、付着微生物に対しては充分な殺菌効果を発揮する一方、試料内部まで熱が伝わらないことが重要である。要するに、本法は試料表面での水蒸気の凝縮に伴う潜熱を瞬間加熱に利用しようとするものである。このとき水蒸気中に空気(非凝縮性ガス)が混入すると試料表面に空気のバリヤーが形成され、熱伝達速度を著しく低下させることは周知の通りである。
下図は今回試作した装置の概略図である。すなわち、ボイラーで発生させた水蒸気を飽和蒸気として円筒に供給するのみである。予め円筒内に存在した空気を系外に効率的に排出するために、水蒸気の供給は弱い旋回流を発生させながら行った。装置図より明らかなように、円筒の下部と上部は常時開放状態で運転する。ただし、水蒸気の上昇圧を制御するために円筒上部には充分な能力のエアーカーテンを設置した。
本装置ではサンプル処理中、円筒内の何れの場所も100℃を維持したことから、殺菌部(円筒内部)への空気の浸入は認められなかった。水蒸気相を落下する青果物の表面温度は0.1秒以内に90℃を超えることから、本装置では試料が水蒸気中を自由落下する0.7秒間のうち、0.6秒間は有効殺菌時間として機能した。処理後の表面温度の迅速低下も本法の特長である。
下図のとおり、種々の青果物に対して1~2オーダーの殺菌効果を認めているが、かたさ、色、Vit.C含量に及ぼす影響も含めて情報提供を行いたい。

Fig.1 装置の設計

Fig.2 殺菌効果

