イチゴ果実硬度の非破壊推定法の開発
研究機関名
宇都宮大学 農学部 附属農場
http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/farm/index.html
代表者
柏嵜 勝
本研究の要旨
イチゴ菜果の硬さ(果実硬度)は、取り扱い、輸送、日持ち、食味などに影響し、特に日持ちや輸送に関しては果皮の硬さが関わると言われている。イチゴをその果実硬度によって選別することが可能であれば、個々のイチゴ菜果の輸送性に見合った流通方法が選択でき、高品質流通が可能になると考えた。本研究では、イチゴの果実硬度を非接触で推定するイチゴ果実硬度推定モデルの開発を目的とした。
本研究では、イチゴの果実表面吸光度スペクトルと果実硬度、細胞壁多糖類の含有量を求め、これらの関連性を把握し、イチゴ果実硬度と関連性の高い波長を選定してイチゴ果実硬度推定モデルを作成した。なお、果実硬度はHIT-カウンター(生研センター)を用い、細胞壁多糖類としてペクチン類、ヘミセルロース、セルロースを対象とした。ペクチン含量はアルコール不溶性固形物(AIS)から塩酸可溶性ペクチン(HSP)、ヘキサメタリン酸可溶性ペクチン(HXSP)、水溶性ペクチン(WSP)を抽出・定量した。細胞壁多糖類は80%アルコール不溶性画分(AIF)、単糖・オリゴ糖画分(OLIGO)、水可溶性多糖画分(WSPF)、デンプン画分(SF)、水不溶性多糖画分(WIF)、ペクチン様物質画分(PS)、ヘミセルロース-Ⅰ画分(HC-Ⅰ)、ヘミセルロース-Ⅱ画分(HC-Ⅱ)及びセルロース画分(CL)を抽出定量した。
いちごの成熟に伴い果実硬度が低下し、全ペクチン含量も減少、特にHSP含量の変化は相関係数R=0.90**(**:1%水準で有意)であった。HSPは収穫年、着色度合いに関わらず果実硬度との相関が高く、ペクチン類の中で果実硬度と相関が最も強い物質であった(図1)。イチゴの果実硬度の低下とともに全細胞壁多糖類含量が減少した(図2)。特に、AIF含量、CL含量、PSの酸性糖量、HC-Ⅱのグルコース糖量が果実硬度の低下とともに減少し、WSPFのグルコースおよび酸性糖量は果実硬度の低下とともに増加した。PSの酸性糖量はHSPに相当し、果実硬度と強い関係があることが確認できた。果実硬度関連物質(HSP、PS、HC-Ⅱ)に関係する波長帯を基に、果実硬度を従属変数、吸光度スペクトルを独立変数として重回帰モデルを作成した。一例として満色果から5分着色果での果実硬度推定モデルを図3に示した。このモデルではSEC=25.6.gf、SEP=26.3gfとなり、果実硬度が低い範囲での果実硬度推定が可能であった。

Fig.1 ペクチン類と果実硬度の関係

Fig.2 細胞壁多糖類の構成糖量と果実硬度の関係

Fig.3 イチゴ果実硬度推定モデルの一例

