食品の熱物性値の新規同時推算法と予測モデル
研究機関名
東京農業大学/生物産業学部・食品科学科/品質管理学研究室
http://www.bioindustry.nodai.ac.jp/
代表者
村松 良樹
本研究の要旨
■ 熱物性値の新規同時推算法
本研究では,これまで多くの食品の熱伝導率測定に用いられている非定常プローブ法(非定常プローブ法とは,試料中に挿入したプローブの温度変化を測定し,プローブ温度変化のデータから試料の熱伝導率を求める方法である)を改良し,簡便且つ精度良く3種類の熱物性値(熱伝導率,熱拡散率,比熱)を同時に推算することができる新たな方法を提案・確立した。その推算方法は,熱伝導方程式の近似解析解における2つのパラメータの値と2 種類の補正係数の値を用いて熱伝導率および熱拡散率を求め,さらにこれらの値と密度の値を熱拡散率の定義式に代入して比熱を決定する方法である。
■ 熱物性値予測モデルの構築
本研究で提案した熱物性値の新規同時推算法を用いて様々な測定条件下において数種類の食品の熱物性値を同時に測定した。得られた各種食品の熱物性値の温度依存性や水分依存性を調べ,各熱物性を温度や水分,かさ密度の関数として表した。また,本研究では食品を構成する各成分の組成や空間構造を対応させた形で熱物性値のモデル化を図ることも検討し,試料の熱物性値を精度良く推算できる予測モデルを構築した。これらの検討により得られた熱物性値予測モデルは,温度や成分組成が分かれば熱物性値を推算することが可能であるため,熱計算や加工装置設計,操作法の選定の際に有用となる。
■ 本研究の特徴
本研究で提案した新規推算方法,すなわち試料中に挿入したプローブの温度変化データのみを用いて,重要な3種類の熱物性値を,簡便に且つ精度良く同時に得ることができる推算法に本研究の大きな特徴がある。さらに得られた熱物性値と温度や成分組成とも関係を求め,熱物性値推算モデルを構築したところに本研究の特徴と学術的価値ならびに実用性がある。
■ 本研究の主要成果
データが不足している食品の熱物性値を測定・把握し,さらに熱物性値予測モデルを構築したことにより,食品の加工流通プロセスにおいて詳細且つ精度良く熱計算することができ,最適な加工装置設計,操作法の選定が可能となる。さらに本研究で得られた成果は,熱物性データの蓄積・体系的把握のみならず,新規の熱物性値測定センサー開発の一助になると考えられる。

Fig.1 Heat probe for measuring thermophysical properties

Fig.2 Measured thermophysical properties for grape juice







